
【非居住者の方へ】非居住者の不動産売買における税金の注意点
投稿日:2020年7月13日 最終更新日:2020年7月13日
「非居住者の不動産売却における支払者の源泉徴収義務」という話を聞いたことがありますでしょうか?
これは、外国人など「非居住者」が日本国内の不動産を売却する場合に買主が売買代金の中から10.21%を源泉徴収して税務署へ納税しなければいけないという義務のことです。
今回は、住所の無い「非居住者」の不動産売買をした際の税期について解説していきます。
そもそも非居住者とは?
非居住者とは、日本国内に住所がなく、現在まで引き続いて1年以上国内に居所がないひとのことを言います。
単純に外国人ということではないことに注意が必要です。
長期的に海外に転勤している日本人も「非居住者」になります。また、その逆で外国人でも日本に住んでいる場合「居住者」となります。
不動産売却において注意するべきところは、日本人だと思って源泉徴収をしていなかったら売主が非居住者だったというケースに要注意です。
なお、居住者であっても国内に永住する意思がなく、国内に住所や居所がある期間が5年以内の人は非永住者に区分されており、課税関係も若干異なるので注意が必要です。
なぜこのような制度があるのか?
「非居住者」が不動産を売却する場合、10.21%を源泉徴収して納税しなければいけないという義務。
これが冒頭の非居住者の不動産売却における支払者の源泉徴収にあたります。
なぜこのような義務があるかというと、簡単に言うと税金をしっかりと収めてもらうための制度になります。
日本で売買の取引が行われたので税金を課する権利はもちろん日本にありますが、「非居住者」の人は海外に住み、口座も海外にある可能性が高く、一度海外に送金されてしまったあとでは、課税をするのは手間がかかり面倒です、税金を取れなくなってしまう可能性もあります。
なので最初に源泉徴収してしまえば、とりっぱぐれることがなくなるという合理的な制度になっています。
ちなみに、10.21%という中途半端な数字なのは、東日本大震災の復興特別所得税(所得税×0.21%)が含まれているからです。
源泉徴収されない場合もある
場合によっては「非居住者」の不動産売却でも源泉徴収されないケースもあります。
- 売買代金が1億円以下
- 買主が法人ではなく個人であり、購入した不動産を自己の居住用または親族の居住用で利用するケース
※「自己の居住用または親族の居住用」の親族とは、配偶者、6親等内の血族および3親等内の姻族のことを指しております
上記ケースの場合源泉徴収されません。
買主が個人の場合、物件価格が1億円を超える「非居住者」との不動産売買はなかなかないことですのでうっかり忘れてしまったというケースもあるようです。
買主が法人であれば必ず源泉徴収が必要になってきます。
売買契約で必要な書類は?
売主が用意する書類一覧は下記になります。
- 在留証明
- 署名証明
- 売買契約の委任状
- 運転免許証・パスポートなどの身分証明書
- 権利証または登記識別情報通知
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
在留証明・署名証明は日本大使館・総領事館で取得できます。
在留証明の発行手数料は1200円、署名証明の発行手数料は1700円になります。
取得するにはちょっと面倒ですので1通ずつ余分にとっておくとよいでしょう。
諸費用は?
一般的な費用は次の4つになります。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用
- 住宅ローン一括返済手数料
こちらが売却する場合の費用になります。
購入する場合だと、仲介手数料、印紙税、印紙税、融資事務手数料、保証料、火災保険料、団体信用生命保険、登録免許税などなどいろいろかかってきますからそれを考えると売却時はそれほどかからないイメージだと思います。
しかし、これは売主がすべて自分でやる場合で、実際には海外にすみながら不動産を売却するのは難しいので代理人を立てて手続きを行うことになると思います。
この場合は上記の4つに加えて代理人の費用が掛かってきます。
代理人に依頼する場合には、不動産売却の契約や交渉を一任するのは楽なのですが、金額の交渉や家具などの処分まですべて決められてしまっても大損してしまう可能性が高くなります。
代理人を立てるときは、代理人がどこまでの範囲で行動できるかを示した代理委任状をしっかりと作成しましょう。
まとめ
「非居住者」の不動産売買は少し複雑なものになってきます。
特に税金の面では法律も絡んでくるので注意しなければなりません。
ですので、できれば司法書士の先生を雇い安心して取引を進められるようにするのがいいでしょう。
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